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横浜F・マリノスを中心に、サッカーの奥深さ、戦術の面白さを伝えたい

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2023J1第7節 横浜F・マリノスvs横浜FC プレビュー

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About Them

位置づけ・目標

2年ぶりに帰ってきたJ1の舞台。横浜FCは、再びその荒波に揉まれている。GMには元マリノスの昼田氏、さらにヘッドコーチにジョン・ハッチンソンを据えたチームは、攻守の切り替えを重視した攻撃性を前面に押し出したフットボールにトライしている。

まず今冬は積極的な動きが目立った。各ポジションに若くて才能にあふれる選手を擁する一方で、経験豊富なベテランや外国籍選手もチームに加え、J1定着を目指す。特に今季のレギュレーションでは、降格が1チームのみになることから、現状は多少の躓きを許容し、目指す方向性の実現に重きを置いているように見える。今季ここまで公式戦は勝利なしと厳しい戦いが続いているが、今回のダービーマッチにおいてそれは大きなフリになる。ライバルでかつチャンピオンチームに勝つことがどれほどのモチベーションになるか。そしてそれがプレーに与える影響はどれほどか。彼らは死に物狂いでこの一戦に臨んでくるはずだ。

 

どんなサッカーをしている?

冒頭にも述べたように、まだまだ構築途中のチームであり、スタメンもあまり固定されていない。むしろ試合ごとに選手を入れ替えながら戦っている。その中で、以下の6選手は開幕から主軸として据えられている。

・中村拓海(右サイドバック)
・ンドカ・ボニフェイス(センターバック)
三田啓貴(ボランチ)
・長谷川竜也(トップ下)
・坂本亘基(左ウイング)
・小川航基(ストライカー)

具体的なチームの構造だが、まずボール保持でいえば、両サイドバックがキーマンである。中村と林(橋本)は、共に足元の技術とパスセンスが光る選手であり、やや低い位置に立ってゲームを作っていく。サイドバックが前を向いてボールを持つことさえできれば、同一レーンのウイング、ハーフスペースに顔を出すトップ下の長谷川、最前線の小川めがけてやや長いボールを蹴ることもある。前を向いてボールを保持できる際は、サイドバックの攻撃参加やボランチの三田が最前線を追い越す動きで関与するなど、かなり迫力ある攻撃になる。

しかし、現状強みといえる型はほぼこれしかない。特にセンターバックからサイドバックへのパスコースを消されたとき、かなりあたふたしている様子が見て取れる。FC東京戦では、自陣ビルドアップのところでサイドバックに預けることができず、低い位置で奪われたところからショートカウンターで刺されている。その後の試合では、徐々にセンターバックからストライカーの小川へのロングボールを放り込み、セカンドボールを回収する形も見られるようになってきた。とりわけ外切りのプレスをかけてくることがスカウティングの段階でわかっている京都のようなチームに対しては、足元で繋ぐよりもシンプルなロングボールを多用する傾向が出てきている。

 

Point of This Game

小川は力でねじ伏せろ

最大の強みである両サイドバックマリノスがどう管理するか。例えば昨季のようにウイングの外切りを軸にしたプレッシングであれば、高い位置で奪うチャンスが増える反面、サイドバックに時間とスペースを与える状況を作られ、サイドで数的不利を作られながら易々と攻め込まれるかもしれない。しかし、今季のマリノスは違う。基本的には4-2-4で構えるところからのスタートで、水沼&エウベルの両ウイングが、横浜FCサイドバックにマンツーで付く形。彼らにボールが渡ったとしても前は向かせない形は作れそうだ。今季取り組んでいるプレスは、サイドバックとウイングの内外レーンの使い分けやポジションチェンジをしない横浜FCに対して相性が良い。第1ステップでサイドに蓋をしたのなら、あとはボランチ、もしくはNo.10カプリーニがトップ下に入る場合は彼が降りてくるのだが、ここは通常通りマンツーで付いていけば良い。ここまで封じれば、あとは小川航基に目掛けたロングボールをマリノスセンターバック陣が上手く回収できるかどうかの力勝負である。

 

仕組みで殴るか、理不尽で殴るか

横浜FCは、チームの志向性に倣い、前へのベクトルを強調したプレッシングを敢行する。4-4-1-1の形でトップ下の長谷川(カプリーニ)がアンカーをマンツーで捕まえたところから、ストライカーの小川、もしくは両ウイングがスイッチを入れる。
この時、両ウイングが相手のセンターバックも捕まえに行く、かつその動きに呼応してサイドバックセンターバックが縦スライドして前に出ていく。しかし、広大なカバー範囲でこのプレッシングを体現するのに寄与したユーリララがルヴァン杯神戸戦で負傷。痛手である。前節・福岡戦では代わりに井上潮音が起用されたのだが、守備範囲を鑑みてこの試合では別の選手を起用してくるかもしれない。

対するマリノスがどのようにボールを動かしていくか。

まず横浜FCのウイングがマリノスセンターバックを捕まえにきたとき、横浜FCサイドバックがウイングを捨ててくるかに注目したい。マリノスサイドバックボランチが代わる代わる背後のスペースに顔を出す動きに対して、そのままサイドバックが出て捕まえに行くのか、それともある程度放置してゴールに直結するDFライン裏のスペースを塞ぐのか。要するに、プレッシングを機能させることを優先するのか、押し込まれることを許容しつつ最も危険なエリアを使わせないことを優先するのか。

マリノスとしては、立ち上がりは相手の出方を伺う時間になる。その際、サイドバックが喰いついてくるか否かは観察するポイントになるだろう。その上で、効果的な手を打っていく。

ただし、横浜FCの両サイドバック・中村&橋本(林)はそこまで対人守備に自信があるタイプではない。よって、仮に背後のスペースを警戒して喰いついてこないとしても、エウベルのドリブルで強引に剥がすことも可能かもしれない。

J1の理不尽さを突き付けて圧倒したいところだ。

 

Lineup

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